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洋画家 大連市美術家協会会員 李 娜さん

李娜さん
李娜さん

「夢は必ず現実する可能性があるのです。そして一番訴えたいことは、芸術に国境はない、ということです」

 大連の若手女性画家・李娜さんが、今年7月に大阪府の堺市立文化会館で初の個展を開催することになった。友人も多く、大好きだという日本での作品展に向けて、作品づくりに打ち込む李さん。開催が決まるまでの経緯と意気込みなどを聞いた。

 大連の美術界にすい星のように現れた李娜さん。初個展を今年7月に大阪で開かれるそうですね。

 これまでは、所属している大連市の美術家協会や青年美術家協会の美術展などには出品してきましたが、個展は開いたことがありませんでした。念願の初個展は大阪府堺市立文化会館で7月15日から21日まで開催することになり、今は展示作品の制作に没頭しています。

 なぜ、初の個展が海外なのでしょうか。

 2年前になりますが、市美術家協会の芸術交流団に入れていただき、ロシアを訪問して、ロシアの作家と芸術について話し合い、芸術環境も視察してきました。そこで感じたのは、ロシアの芸術性の高さでした。街の広場には彫塑が置かれていたり、あちらこちらに絵画が飾られたりしていました。中国とは違った芸術レベルで、いつかは中国人作家として海外で作品を発表したい、との気持ちが強くなっていたのです。

 個展会場に堺市を選んだのはどのような理由があったのですか。

 日本には友人がたくさんいますし、日本は芸術の先進国でもあります。海外の中でも、大好きで親しみを持っている日本で初個展を開きたいという思いが募り、今年2月に開催会場の下見として大阪を訪問しました。日本の友人たちが、会場の候補として堺市立文化会館を紹介してくれたのです。会館の展示会担当の方と打ち合わせをしましたが、その場で開催することが決まりました。

 海外での初個展がトントン拍子で決まったのですね。

 そうです。展示会の年間予定がびっしり詰まっていましたが、偶然にも7月中旬だけが空いていたのです。とても幸運でした。文化会館の中には与謝野晶子文芸館もあって、生い立ちや業績、作品なども展示されていました。ここで初の個展を開くことができるのはとても意義のあることだと思いました。親身になって手配してくれた日本の友人たちに、とても感謝しています。

 個展にはどんな作品を出品されるのでしょうか。

 私は人物画を中心に作品づくりをしていますが、展示会では人物画や風景画、静物画など大作から小品までの約50点を展示する予定です。風景画は、旅順や大連市内の古い建物など、日本の方が親しみを持っている作品を10点ほど観ていただこうと、いまは制作に励んでいます。

 李さんが大連市の画壇に登場したのはつい最近のことですよね。

 本格的に描き始めたのは2009年です。住んでいたマンションの隣が女流画家の李敏さんでした。知り合いになってから、「絵が好きなら描きなさい」と勧められたのが、画家になるきっかけでした。李敏さんはいま、米国に移り住んでいますが、それ以来、李敏さんの指導を受けて作品づくりに打ち込み、画壇の先生たちとも知り合いになりました。その先生たちからは、私の作品が個性的だと評価を受け、昨年は大連市美術家協会、今年になって大連市青年美術家協会会員に推挙されたのです。

 まさに〝シンデレラデビュー〟ですね。今度の初個展では、日本のみなさんにどんな事を伝えたいですか。

 まずは、好きなことにまい進すれば、だれにでも将来の道を拓くチャンスがあるということ。夢は必ず現実する可能性があります。そして一番訴えたいことは、芸術に国境はない、ということです。作品を通して中日両国の民間交流がもっと深まることを願っています。

【経歴】

 遼寧省本渓市出身。小学校時代から絵画に親しんできたが、本格的に学び始めたのは2009年。大連の女流作家李敏さんの勧めで制作活動をはじめ、独自の作風を築く。2013年に大連市美術家協会会員となり、画家としてデビュー。今年は同市青年美術家協会会員となり、間もなく遼寧省美術家協会会員に推挙される見通しだ。

【取材を終えて】

人物画に描かれた人生

 客待ちのホステスだろうか、カウンターで物憂いな表情でたばこをくゆらす女性が、暗いバーに浮かび上がって描かれている。フランスの画家ロートレックにも似た題材だが、女性の内面もうかがわせる描写が、女流作家ならではと思わせる。
 李娜さんの人物、肖像画に共通する作風だ。観る側に、登場人物の人生や性格までも想像させてしまう。余韻だろうか、それとも深みがあるというのだろうか。平面的なキャンバスの奥に人生が見える。
 この作品は、日本の会場でも強烈なインパクトを与えることだろう。そして登場人物たちが、芸術を通した日中の民間交流の使者になってくれることを願いたい。
猪瀬 和道

李娜さんのホームページ
http://www.kumi99.com

この投稿は 2014年4月8日 火曜日 7:45 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2014-04-08
更新日: 2014-04-09
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