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大連東北国際旅行社董事長・総経理 周 世和さん zhou shihe

大連東北国際旅行社董事長・総経理 周 世和さん zhou shihe
大連東北国際旅行社董事長・総経理 周 世和さん zhou shihe

「大連市には、日本に対する友好の気持ちを持っている人たちがたくさんいるのです」

 昨年来、低迷していた中日間の相互交流が復活の兆しを見せて来た。一時は途絶えていた中国人の日本観光が徐々に増え続け、民間交流も徐々に動き始めている。こうした中日両国の友好活動を観光面から支えて来た大連東北国際旅行社の周世和さんに、民間レベルの交流や観光の現状などについてインタビューした。
 周さんは観光業を通して中日友好活動を幅広く展開されています。まずは最近の両国観光がどのような傾向にあるのか、お聞かせください。
 昨年来は両国の観光分野は冷え込んで、両国の友好を願う私にとって悲しい現状でした。しかし、今年半ばあたりから、日本観光する中国人が徐々に戻って来ました。こうしたアウトバウンドは今後、増える傾向にあるでしょうね。その一方で、中国を観光で訪れる日本人は大きく減少しました。まだ回復の兆しは見えて来ません。
 日本のマスコミ報道などで、中国のマイナスイメージが植え付けられていることも、その原因になっているのでしょうね。
 その通りです。中国に対して「恐い」「危ない」といった印象を持つ日本人が多いのでしょう。しかし、大連は親日的な土地柄で最も安全な都市ですし、その他の中国国内も全く問題はありません。日本から来た人たちは、「大連に来てみて安全だと言うことがわかりました」と口をそろえています。実際に来て、安全で友好的な国だということを実感していただきたいですね。
 周さんは知日家でもあり、様々な中日友好活動を手がけて来ましたね。
 大学を卒業してから30年以上にわたって、中日友好関係に携わって来ました。数えればキリがありませんが、大連港に寄港した日本丸や富士丸など数多くの船を受け入れ、中日交流会を開いたこともありました。また、日本航空さんとの関係も深く、1991年からお付き合いさせていただき、1997年11月2日にJALが大連便を就航させた時も、準備段階からお手伝いさせていただきました。JALパックの特約会社にもなっており、親密な関係はいまも続いています。
 大連ウォーキング大会も周さんが、深くかかわっていたと聞いています。
 ええ、私は大連ウォーキング協会の副会長でもあり、2003年から大連で大会を開催して来ました。これもJALさんがらみで、日本ウォーキング協会の生みの親とも言える金子智一さんのご子息がJAL北京支店長だった関係もあって、当初はJALさんの協賛をいただいて国際的な交流大会となったのです。
 民間交流もたくさん手がけて来ましたね。
 大連市民で結成する友好訪日代表団を北九州市や広島、石川、岩手など日本各地に送り込みました。また、2010年2月には夏徳仁市長(当時)が旅順開放を東京で発表した時も約300人の訪問団を編成して、20日間にわたって交流してきました。このほか、旅順の203高地近くにライオンズクラブの活動として中日友好桜花林を造りましたし、ウォーキング交流として福岡県久留米市と韓国、大連の3都市による連盟調印もアレンジしました。
 現在は両国関係が厳しい状態ですが、民間交流の実態はいかがですか。
 民間レベルでは政治などの難しい問題は関係ありませんね。昨年4月に広島と開発区の小学校が友好提携した時も仲介させていただきました。いまも互いに手紙を交換するなど、実質的な交流が続いています。大連市には、日本に対する友好の気持ちを持っている人たちがたくさんいるのです。
 中日友好の橋渡し役として今後の抱負をお聞かせください。
 互いに笑顔で交流して理解が深まれば、これに勝るものはありません。中日間の経済、文化、観光の分野で引き続き、友好の架け橋役として全力投球する覚悟です。そして、日本のみなさんにぜひ大連に来て、大連の素晴らしさを知っていただきたいと思います。「百聞は一見に如かず」です。

【経歴】
 1959年、瓦房店市生まれ。遼寧師範大学日本語科卒業。広東市の中国国際旅行社に4年勤務したあと、大連に戻って中国青年旅行社などに所属しながら幅広い中日友好の事業に携わる。1999年に大連東北国際旅行社を設立、旅行業とともに多くの中日友好団体役員として活動する。

笑顔で友好の橋渡し

 中日関係は、時としてぎくしゃくとして、経済、人的交流が低迷する時もある。この1年はまさに両国の〝冬の時代〟だった。しかし、この大連には中日友好を願い、地道な活動を続ける人たちがたくさんいる。その1人が周世和さんだ。
 周さんとは長いお付き合いをさせていただき、日本からの訪中団を取材するときは、いつも周さんの姿があった。「笑顔で交流できることが何よりです」。両国友好の橋渡し役として、これからも周さんの笑顔が見られることを願いたい。
猪瀬 和道

この投稿は 2013年11月5日 火曜日 3:17 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2013-11-05
更新日: 2013-11-05
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