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在瀋陽日本総領事館大連事務所所長 平川 智雄さん Hirakawa Tomoo

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「大連の官民の皆様との友好を深め、日本の皆様にも円滑な企業活動、快適な生活が送れるよう尽力致します」

 在瀋陽日本総領事館大連事務所の平川智雄所長が着任して間もなく2か月を迎える。大連と日本は密接な関係にあり、経済から文化、教育など幅広い分野で活発な交流を続けてきたが、両国関係に影を落とす微妙な状況も出てきている。それだけに、中国関係に携わってきた平川所長の手腕に期待がかかる。日本と中国、大連の関係進展などについて聞いた。

 平川所長は6月で大連着任2か月となります。まずは大連の印象についてお聞かせください。

 改めまして、4月1日に大連事務所長として着任しました平川智雄です。よろしくお願い致します。外務省に入省して以来、一貫して中国関係の仕事に関わってきました。しかし、大連はこれまでに訪れる機会がなく、初めての勤務となります。着任2か月足らずですが、「ガーデン都市」「衛生都市」などの名の通り、景観、環境ともに素晴らしく、また、中国東北地方における国際海運、金融、ビジネス、観光、情報産業の中心都市として、非常に活気と活力に満ちあふれた都市との印象を受けています。

 中国関係のエキスパートである平川所長ですが、大連が初めてと言うのも意外ですね。

 これまで北京で語学研修したほか、広州、重慶、香港、米国、ニュージーランドに在勤しましたが、中国東北地方は初めての勤務です。これまで大連の人々の優しさ、思いやりに接し、さらには優れた生活環境にも満足しています。大連勤務に際し、多くの同僚からうらやましがられた訳が、分かってきたような気がします。

 赴任に際して日本と中国、大連の関係についてどのようにお考えでしょうか。

 ひと言で言えば、ずばり日中関係をさらに発展させなければならない、ということです。なかんずく、日本と大連の友好関係をさらに発展させなければなりません。そのために微力ながら、最大限の努力を払いたいと思います。

 しかし、現在の日中関係はこれまでになくぎくしゃくしています。こうした現状の中でどのように友好関係を発展させていかれるのでしょうか。

 ある特定分野での難題のため、日中関係全般が影響を受けるのは、両国、両国民にとって良いことではありません。双方が大局に立って個別の難題を克服することが求められます。現在の状況の要因のひとつは、両国民の相互理解不足があると思います。友好関係を増進するためには、両国民の交流を不断かつ大胆に推進することが大切だと考えます。とりわけ日中の将来を担う若者間の交流が重要だと思います。

 大連には多くの日本企業が進出していますが、こうした企業活動の支援などについてはどのようにお考えでしょうか。

 まず、概況ですが、大連に長期滞在する日本人は約6000人、進出企業は2000社以上と言われています。また、大連日本商工会の会員は約800社で上海に次ぐ大組織です。こうした日本人社会を取り巻く課題も少なくありません。商工会の法人化や日本人学校の移転、賃金問題など、商工会が取り組んでいる諸課題について、できる限りお手伝いをさせていただきます。また、日系企業のプレゼンスの維持、拡大にも貢献できればと思っています。

 在留邦人への支援についてはいかがでしょうか。

 在留邦人の皆様の関心事は、安全、教育、医療です。これらの関心事に常に注意を払い、教育では日本人学校の移転、安全面では新型鳥インフルエンザや当地の治安情勢に関する情報提供など、必要と思われる情報をタイムリーに発信し、「安全対策連絡協議会」などの場を通して、情報交換にも努めたいと思います。

 最後に個人的な目標も含めて、今後の抱負をお聞かせください。

 できるだけ多くの大連の人にお会いし、大連の官民の皆様との友好を深めたいと思います。また、在留邦人や日系企業の皆様ともお話をする機会を多く持ち、より円滑な企業活動、快適な大連生活が送れるよう尽力致します。私のこれまでの外交官人生における経験を、大連と日本とのさらなる発展のため注力したいと思っています。

【経歴】
 1953年、神奈川県出身。東京外国語大学卒業。1977年4月に外務省入省。香港、北京で語学研修を受けた後、財団法人交流協会、外務省経済協力局勤務を経て1985年に在広州日本総領事館に赴任。その後、米国、外務省中国課、経済協力局に勤務し、1998年に在香港総領事館領事。さらに重慶、ニュージーランド、外務省領事局を経て、今年4月、内閣官房内閣広報室企画官から大連に着任した。

【取材を終えて】
誠実で経験豊かな外交官

 平川智雄所長の着任直後から、何度かレセプションでお会いした。その誠実な対応ぶりからは、中国に精通した経験豊かな外交官の姿を拝見することができた。「大連在勤が終わったときに、大連が私の第二の故郷になったと言えるよう、ここでの仕事や生活を充実させたい」との言葉からも、平川所長の人柄をうかがい知ることができた。

 休日には大連の街を散策し、歴史的な建造物やきれいな公園、近代的な街の姿に心を動かされていると言う。大連が「第二の故郷」になってくれることを願いたい。
猪瀬 和道

この投稿は 2013年6月14日 金曜日 3:26 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2013-06-14
更新日: 2013-06-15
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