Whenever誌面コンテンツ

オイスターソースは味付けの魔術師

20110304-DSC_9778.jpg

中華料理に広く使われる蚝油(hao you=オイスターソース)とは偉大な発明である。広東で発明されたうまみ調味料であって、世界でも広く使われている。「李錦記」が老舗であり、日本でも売られている。


中国のオイスターソース「蚝油」(右)と醤油「生抽」

 中華料理に広く使われる蚝油(hao you=オイスターソース)とは偉大な発明である。広東で発明されたうまみ調味料であって、世界でも広く使われている。「李錦記」が老舗であり、日本でも売られている。
 とにかく野菜でも、肉でも、麺でも魚でも油で炒め、パッパッとオイスターソースをかければ立派な中華料理になってしまう。日本からの観光客を普通の中華レストランに案内して数皿の料理を食べると、皆さんは「とても美味しい料理」と褒めるが、良く味わってみると全部同じ味であったりする。
 それは、オイスターソースの味なのである。私など中華料理とは何と簡単なのだろうと思ったりして、苦笑してしまう。その手軽さ故、オイスターソースは何と言っても家庭料理には便利な調味料なのである。
 一方、醤油についてはどうやら世界では日本の醤油が中国のお株を奪っているのではないだろうか。キッコーマンが早い時期にアメリカに進出したためなのであろう。Soy Sauce(ソイ・ソース)といえば日本の醤油を指しているのである。かれこれ30年も前の話だが、私が北米にいたときにコーヒーの自動販売機でBeef Broth(牛肉汁、飲み物)なるものを飲んだのであるが、それが何と日本の醤油をお湯で割っただけのものであった。とてもとても苦笑してしまったのである。
 味噌でもジャムでもねっとりとしたものを「醤」と言うのだが、醤油としたのは和製漢語であり、中国人にとっては不可解な言葉であっただろう。その和製漢語が中国に逆輸入され、最近は中国の製品にも一般に表示されているのである。例えば生抽(sheng chou=醤油)などである。
 中国には大別して生抽(sheng chou)と老抽(lao chou)とがある。広東語である。生抽には、アミノ酸の含有量で区別して、特級(0.8gr以上/100ml)から下は3級(0.45gr以下/100ml)まである。日本の“濃いくち醤油”はその等級で言うと3級である。私は10年前に初めて大連に来たとき、日本から醤油を持ち込んでいたのだが、中国人に日本の醤油は3級と言われ、いささか侮辱を感じたものたが、醤油の家元が中国であることを考えれば3級と言われても我慢せざるを得ないのかな、とも思う。
 一方、老抽とは生抽にカラメルなどを入れ、色と味を濃くして紅焼料理などに使われる。中華料理は紅焼料理が多いので老抽はかなり多く使われているのである。
 中国の醤油には等級に関わらず白砂糖を入れるのが多い。〝こく〟を出すために入れるのであろうか。日本料理で多く使われる〝うすくち醤油〟は地元メーカーのものは未だ見かけない。ここらの中華料理は一般に味が濃いのでその必要性がないのであろうか。

この投稿は 2011年3月4日 金曜日 11:10 AM に Whenever誌面コンテンツ, okaさんの食楽人生 カテゴリーに公開されました。

コメントをどうぞ

掲載日: 2011-03-04
更新日: 2011-10-10
クチコミ数: 0
カテゴリ
エリア