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大連ITクラブ新会長 何徳 倫さん hede lun

20年来の友人の三上吉彦さんと

20年来の友人の三上吉彦さんと

「難しい局面をどう乗り切るか、みんなで知恵を絞る必要があると思います」

 大連のIT業界の関係者らで結成する大連ITクラブが発会10周年を迎えた。設立時から会長として牽引してきた牛島五郎さんがこれを契機に引退、新しい会長に何徳倫さんが就任した。東京と大連でソフトウェア会社を経営する何さんは知日派であり、「日中両国を結ぶ適材」との声も上がっている。何さんに業界の現状やITクラブ運営の抱負などについて聞いた。 

――設立10周年を迎えた大連ITクラブの新会長に就任されました。まずは抱負をお聞かせください。

 ITクラブは創設者でもある前会長の牛島五郎さんの努力で続いてきた団体で、業界内の情報交換と交流を目的にしています。規則も縛りもなく、自由な雰囲気の中で活動しています。この伝統を守り、2か月に1回の例会を継続し、さらにはゴルフやテニスなどの親睦大会も開催して交流を深めて行きたいと考えています。

――何徳さんは設立当初からのメンバーでしたね。

 20年来の友人でITクラブの副会長でもある三上吉彦さんに誘われて第2回例会から参加しました。当時は十数人でしたが、いまではメーリングリストだけでも200人近くいて、例会には毎回100人近くが参加しています。10年の歴史を感じますね。

――副会長の三上さんとそんなに長いお付き合いだったんですか。

 三上さんがIBMの現役だったころです。当時、日本のパソコンでは中国語入力が難しかったので、こうした問題を業界関係者が情報交換して考える「チャイナフォーラム」を一緒に立ち上げたのです。いまも親しく付き合わせていただき、三上さんが大連ソフトウェアパークを退社された後、私の会社に来ていただき、手伝っていただいています。

――ところで、大連のIT業界もこの10年間で随分と変わってきているような印象を受けますが。

 当時は日本からのオフショアが盛んで、IT業界も勢いがあり、クラブ運営もスムーズでした。しかし、いまは転換期にあると思います。人件費は2倍に上がっているけれど、日本からの受注単価は当時と変わっていません。逆に安くなっている傾向もあります。業界を取り巻く経営環境は厳しくなっています。

――大連のIT業界がこの状況から抜け出すにはどのような方向性があるのでしょうか。

 私の個人的な見解ですが、まずは製造部門を人件費の安い内陸部に移して、大連では受注の窓口と高度な設計を担う。そうすれば企業の生き延びる道が拓けるでしょうね。次には日本企業のシステム保守の業務を担当することです。特に保険会社は膨大なデータを処理しますので、日本国内ではコストがかさんでしまいます。大連でも先見性のある会社はすでに日本の保険会社の業務を取り込んでいます。メンテナンスであるシステム保守ならば継続的な仕事となり、経営も安定します。

――そうなるとITクラブの存在意義がますます大きくなってきますね。最後にITクラブの使命についてお聞かせください。

 そうですね、新時代に向けてこの難しい局面をどう乗り切るか、みんなで知恵を絞る必要があると思います。密度の高い情報を交換して新しい経営環境をつくり出さなければなりません。しかし、この団体はボランティアで運営していますので、互いが上手に活用して、会社や個人のビジネスのプラスにしていただきたいのです。その場とチャンスを作るのがITクラブの役目だと思っています。

  由大连IT界关系者组成的大连IT俱乐部迎来10周年,继老会长牛岛五郎后何德伦担任新会长。何先生目前是一家软件公司的社长,业务往来于东京和大连之间。是被称作最适合做日中桥梁之才的人。我们就业界现状和IT俱乐部运营情况进行了采访。
  「IT俱乐部是由老会长牛岛五郎创建的,以业界内情报交换交流为目的。在没有规定自由的气氛中举办活动。我们会一直保持这个传统,每两个月一次的例会也会继续开展。正在考虑举办高尔夫和网球大会这样的能够促进交流的活动。怎样跨越经营的困局,需要大家共同的智慧。高密度的情报交换和更新经营环境很重要。这里为大家免费提供平台,为企业和个人带来机会是我们的职责」

【経歴】
 1950年6月、長春市生まれ。北京郵電大学通信学科卒業後、吉林省郵電管理局に入庁し、1985年に中国科技部の研修生として群馬県桐生市の電子会社で1年間研修。同管理局に復職1年後、自費で東京の電気通信大学に留学。2年後に東京の英国系企業に入社、情報部門の技術サポートを担当。1996年に東京でソフトウェア会社を設立、2004年に「大連博倫徳電子有限公司」を立ち上げた。「大連は燃えている 大連市のソフトウェア開発事情」などの著書もある。

【取材を終えて】
穏やかな人柄に大きな期待

 何徳倫さんとは大連ITクラブの設立当初からの顔見知りで、5年ほど前にも取材をさせていただいたこともあるが、今回は久々にゆっくり話をうかがうことができた。流暢な日本語で笑顔を浮かべながらインタビューに応じてくれた何さん。穏やかな人柄がしのばれる。
 ITクラブは日本の会社と取引する中国人経営者や大連に駐在する日本人も所属する国際色豊かな団体。それだけに両国を知り尽くした何さんの会長就任は、だれもが納得する〝好人事〟。何新会長への期待は大きい。
猪瀬 和道

この投稿は 2012年9月11日 火曜日 5:33 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2012-09-11
更新日: 2012-09-14
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