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大連豊藝實業有限公司総経理 ファッションデザイナー 任 平さん ren ping

「ブランドの維持、発展は、子育てのよう」

 中国国内でも知られるファッションデザイナーの任平さん。日本の文化服装学院で学んだこともあるだけに日本とのパイプも太く、国際的にも活躍する。そんな任さんの橋渡しで中日服飾学校の共同投資による専門学校が、中日国交正常化40周年の今秋、大連に誕生することになった。設立の経緯や大連のファッションビジネスなどについて聞いた。(関連記事は19ページ)

――任さんにインタビューをさせていただくのは「Whenever DALIAN」(当時は「WALKER DALIAN」)が創刊された6年半前に続いて2回目。今回はファッションを通した中日ビジネスに取り組む任さんのお話をうかがいに来ました。

 「本当にお久しぶりです。ついこの間のことのように思えますが、もうそんなに時間が経つんですね。これまでも日本とのかかわりはずーっと続いています。特にここ数年間にわたって取り組んできたのが、瀋陽の魯迅美術学院と東京の文化服装学院の提携です。両校の橋渡し役をしてきましたが、今秋には両校が共同経営する『魯美文化服装学院』が金石灘に開校する運びとなりました」

――魯美文化服装学院はどのような教育を目的とした学校なのでしょうか。

 「大連はファッションの街ですが、アパレル教育の面では遅れています。そこで、伝統と実績のある文化服装学院の教育ノウハウを導入して、優秀なデザイナーを養成する専門学校として魯美文化服装学院を開校させることになりました。文化服装学院からは講師陣も派遣していただくことになっています」

――任さんは瀋陽の魯迅美術学院を卒業し、文化服装学院にも留学されていました。そう言う意味では両校とも母校ですね。

 「魯迅美術学院では服飾デザインを学び、修士を取得しました。また、文化服装学院は18年前に大連市政府の文化交流委員として1年間留学し、服飾に関する幅広い知識と技術を学びました。そんな関係から、大連での開校を目指していた文化服装学院から私に声がかかり、両校を結びつけることになったのです」

――任さんも魯美文化服装学院の教育に携わるのでしょうね。

 「これまでも大連工業大学や大連外国語学院、魯迅美術学院で服飾講座を担当し、日本で学んだ知識と経験を若い人たちに教えてきました。魯美文化服装学院ではどのような形でかかわり合うか、まだ決まっていませんが、教育はとても大事ですので、学生たちを指導したいと思っています。また、母校への恩返しと言う意味でも、お役に立ちたいと言う気持ちを持ち続けています」

――ところで大連のファッション業界の景気動向はいかがでしょうか。

 「世界的な不景気の影響を強く受けて、OEMの工場が倒産するなど厳しい状態です。私が高級ブランド『RENPING』を立ち上げた2000年に大連で20ブランドが誕生しましたが、いまも残っているのは2ブランドだけ。それだけ生き残りが難しくなっています」

――ローカルブランドを取り巻く状況はかなり悲観的な状況ですね。

 「ブランドの維持、発展は子育てのように難しいですね。世界的なブランドは企業の文化や理念が織り込まれています。ただ服を作って売れば良い、と言う訳ではありません。私が北京の中欧国際工商学院で昨年10月にMBA(経営学修士)を取得し、大学で哲学や文学、美術の勉強を続けているのも、ブランドに命を吹き込みたいからなのです」

――新しい考えや取り組みが必要だと言うことですね。

 「そうです。世界がめまぐるしく変わる中で、ファッション業界も考え方などを変えて行かなければなりません。それに危機の一方にはチャンスもあります。私たちは今年新たな戦略を立てました。それはオーダーへのシフト化です。私どものお客様は40歳以上の経済的にも豊かな方達で、個性的で体型にフィットする洋服、一般のショップでは売っていないようなものを求めています。こうしたお客様が増え、新たなビジネスチャンスになってきました」

――最後に『RENPING』の今年のファッションについてお聞かせください。

 「『RENPING』ではパリの今年の傾向を研究し、これにアジア的要素を加えて4つの傾向を生み出しました。色はオレンジとブルー系、ピンク+グレー、そして白と黒。いずれも心理年齢28歳から45歳をイメージしたもので、上品で女性らしさを強調しました。美しい大連の女性たちに、より綺麗になっていただきたいと思います」

【中文】
  中国知名服装设计师任平女士,曾就学于日本文化服装学院,如今活跃在国际舞台。在中日服饰学校共同投资开办专业学校的过程中任女士起到了至关重要的桥梁作用,学校将于中日国交正常化40周年的今秋诞生,关于办校的经过以及大连时装商务等话题接受了本次采访。
  「经过数年努力由鲁迅美术学院和东京文化服装学院共同投资设立的专业学校『鲁美文化服装学院』即将于大连金石滩开校。引进文化服装学院的教育精髓,培养更多优秀设计人才是促成鲁美文化服装学院开校的原因。虽然还没决定将以怎样的形式与鲁美文化服装学院合作,但是教育是一件大事,很想亲自指导学生。更想报恩两所母校,尽自己的一份力。」

【経歴】
任平さん

 大連市生まれ。大連を代表するトップデザイナー。2002年に中国デザイナーベスト10、中国最優秀女性デザイナー賞を獲得し、その後も様々な賞に輝いている。2004年には「RENPING」が大連市の有名ブランドに認定された。ファッションショーも積極的に開催、昨年秋は大連服装祭のファッションショーで作品を発表して好評だった。

【取材を終えて】
変わらぬ情熱と向学心

 任平さん前回お会いした時と全く変わらず、穏やかな表情の中にも中日ビジネスへの熱い思いを抱き続けていた。そして、文化服装学院に留学した際、学院側が資金援助してくれたことをいまだに感謝し、「恩返ししたい」と6年半前の言葉を繰り返した。
 向学心も変わってはいなかった。週末には北京に通って中欧国際工商学院でMBAを取得し、今も大学で勉強を続けている。「勉強が好き」という任さん。その思いは開校する服装学院の学生たちに伝わって行くことだろう。
猪瀬 和道

この投稿は 2012年6月6日 水曜日 1:03 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2012-06-06
更新日: 2012-07-11
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