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張 抗私さん 東北財経大学経済学院 教授 

張 抗私さん 東北財経大学経済学院 教授 

張 抗私さん 東北財経大学経済学院 教授 


東北財経大学経済学院 教授 張抗私(Zhang Kangsi)さん

東北財経大学経済学院 教授 張抗私(Zhang Kangsi)さん

「夢は男女平等社会の実現。中国の就業問題を良い方向へ導き、優秀な学生を育て、日本との学術交流にも貢献したい」

 3月8日は「国際女性の日」。中国でも「三八婦女節」として知られている。きっかけは、1904年3月8日のニューヨーク。この日、女性労働者たちが婦人参政権を求めてデモを行ったのだ。その後、1910年に、国際的な記念日として、正式に制定された。東北財経大学の張抗私教授は、労働経済学の研究者で、社会へ向け積極的な提言も行っている。女性の社会進出や日本との国際的な学術交流について聞いた。

 張先生の研究領域に関して、教えていただけますか。

 私の専門は、ミクロ経済学と労働経済学です。今は、就業問題を中心に研究しています。特に、大学生と女性の就職に関してです。大学生は就職難ですし、女性はさらに、不利な状況に置かれています。

 原因は、どの様なところにあるとお考えですか。

 景気の影響もありますが、産業構造と就業構造に問題があります。現在、中国では第三次産業が発展しています。それに伴い、産業構造が変化しているのに、就業構造は昔のままです。その結果、不用な人材が増えてきてしまいました。このような差異に焦点を当てて、解決策を考えています。

 さて、3月8日は「三八婦女節」ですが、女性の就業問題に的を絞ると、いかがでしょうか。

 残念ですが、労働機会の不平等や女性への蔑視が存在しています。農業の時代は、力が強く、身体も大きな男性の方が、女性よりも生産性が高かったかもしれません。ですが、ホワイトカラーなど、そうではない職場もたくさんあります。にもかかわらず、労働者として男性が重視される社会的な性別観念が、いまだに残っています。

 具体的には、どんな問題が発生しているのでしょうか。

 男性が採用されやすく、社内では男性が昇進しやすく、まだまだ男性中心なのが現状です。こうして、収入の差も生まれてしまいます。優秀な女性が多いのに、社会的に重視されない。このような差別に直面すると、女性は傷つき、将来を悲観し、努力をやめてしまいます。そうなると、人的資源の浪費が発生します。この点も、私の研究テーマです。

 張先生は、大学での研究だけではなく、社会への提案も活発に行っていらっしゃいますが、これまでの活動を教えてください。

 著述では、約50本の論文と4冊の本を執筆しました。国の重要研究課題にも、9つが選ばれました。社会に、少しでも訴えられたと思います。大学生の就業問題に関しては、ビッグデータの収集と分析を通し、問題提起をしました。専門技術教育の拡充を政府へ提案し、採用されました。

 女性の就業に関しては、成果もあったと伺っています。どのような成果が得られたのでしょうか。

 ご存知の通り、女性の定年は、男性より早いのが現状です。ですが、2015年6月から、大学では助教授以上の女性、公務員では処長以上の女性が、60歳定年となりました。わずかな変化ですが、とてもうれしく思いました。

 これまでの研究が実を結んだと言えますね。

 はい。16年以上の研究と提案の結果だと思っています。大学内で、女性の助教授から「ありがとう」と声をかけられたこともあります。学者として、人の役に立てるのは、本当に光栄です。

 さて、話題は変わりますが、張先生は日本との学術交流にも取り組んでいらっしゃいますね。学術交流に関して、聞かせてください。

 日本では、信州大学で留学生活、一橋大学で研究生活を送りました。そのほか、日本大学や九州国際大学、滋賀大学では、中国経済に関する集中講義を担当したこともあります。また、日本のアジア市場経済学会にも所属しており、日本での研究大会にも参加しています。今年の7月から9月までは、日本の労働経済の研究所で、研究もさせていただきます。日本から研究者を招き、大連で国際会議も開催しています。

 最後に、今後の夢や目標をお聞かせください。

 目標は3つあります。まず、海外の研究成果なども紹介し、中国の就業問題を良い方向へ導くこと。2つ目は、日本との学術交流に貢献すること。交流が活発になれば、誤解もなくなるはずです。3つ目は、優秀な学生を育てることです。夢は、中国経済が良くなり、学生が就職しやすくなること。そして、男女平等社会の実現です。

  3月8日,是三八妇女节。这个节日源于1904年3月8日的纽约。这天,劳动妇女为了谋求妇女参政权而发起了罢工游行。在之后的1910年,3月8日正式设立了这一国际性纪念日。东北财经大学的张抗私教授,作为劳动经济学的专家,也在社会上积极地提出许多建议。这次,我们向张教授采访了,女性在社会中的发展和与日本之间的学术交流的现状。
  “女性在社会中的发展这一方面,非常遗憾,的确存在就业机会不平等和蔑视女性的问题。目前的现状为:男性容易被录用,也容易得到晋升。明明有许多优秀的女性,却得不到社会的重视。我写了大概50篇论文和4本书,也提出了许多建议。终于在2015年6月,大学副教授级别以上和公务员的处长级别以上的女性们,可以在60岁退休。而和日本之间的学术交流方面,我时常在日本的大学举行集中讲义,邀请日本的研究者来到中国开展国际会议。”

張 抗私(Zhang Kangsi)さん
 1963年4月、遼寧省本渓市に生まれる。遼寧師範大学で歴史を専攻。卒業後に3年間の教員生活を経て、1991年に信州大学大学院へ留学し、社会教育学を学ぶ。1997年に東北財経大学へ着任し、同大で経済学の博士号を取得。中国社会科学院財貿研究所や一橋大学での在外研究も経験し、現在に至る。著書や論文は多数。

インタビューを終えて
女性として、学者として
 より良い社会の実現に向けて、積極的な提言を行ってきた張抗私先生。正に、戦う女性研究者といった感じだが、実際は気さくで明るく、とても接しやすい人柄だ。
 研究や社会への提言だけではなく、日本との学術交流にも積極的に取り組んでいる。今年の7月から張先生が研究のために滞在する日本の研究所は、厚生労働省下で、権威ある精鋭が集まっているという。そこの招聘研究員として、厳しい審査を経て選ばれたということは、張先生の業績が高く評価されているということだろう。
 女性として、学者として、活躍を続ける張先生の未来を応援したい。

武井 克真

この投稿は 2016年3月24日 木曜日 3:35 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2016-03-24
更新日: 2016-04-29
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