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友誼商城相談役 宮本 大維さん miyamoto daisuke

友誼商城相談役 宮本 大維さん miyamoto daisuke
宮本大維さん

「中国人は行動を起こす前に、どうやって処理すれば良いのか考えます。柔軟性と思慮深さがあるのです」

 世界的な台湾料理店「鼎泰豐」が中山区人民路の友誼商城にオープンして、間もなく1年を迎えようとしている。同店を誘致して一流店を大連に根付かせたのが、1人の日本人だった。国営系企業である友誼商城相談役の宮本大維さん。何か国語も駆使して中国経済界で活躍する宮本さんに、これまでの取り組みや今後のビジネス展望などについて語ってもらった。

 友誼商城に開店した世界的な台湾料理店「鼎泰豐」が間もなく1周年を迎え、連日、たくさんのお客でにぎわっていますね。この「鼎泰豐」を誘致したのが宮本さんだったとお聞きしています。

 友誼商城はハイクラスのデパートで、お客様のターゲットは富裕層で高級品を取り扱っています。しかし、近年のデパートは物販だけでなく、飲食や娯楽など多様性が求められています。そこで友誼商城はブランドレストラン、一方の「鼎泰豐」も大連で良いパートナーが、それぞれ必要だったのです。お互いの戦略がいいタイミングで結びついたという訳です。

 そこで、台湾生まれ、育ちの宮本さんの人脈が生きた、ということなのですね。

 そうです。私は台湾で24年間暮らし、同級生や知人の中には実業家や国会議員など、重要なポストに就いて活躍されている人たちが多くいます。「鼎泰豐」の場合も人脈をたぐって、最後はオーナーにつながりました。そこから話はトントン拍子に進み、世界100店目の店舗として大連店がオープンしたのです。

 ビジネスの世界でもやはり人脈があるか、ないかでは随分と違うのですね。

 中国は人脈の国だと言われますが、日本でもアメリカでも人脈が大切なことに変わりはありません。私はこれまでに日本と台湾、中国本土、欧米ともビジネスをしてきましたが、人とのつながりに助けられたことが何度もありました。

 ところで宮本さんは国営会社である友誼商城の相談役として経営に携わっています。日本人が中国の国営系会社で活躍しているケースは珍しいですね。

 そうかも知れませんね。台湾で生まれ育ち、日本で学び、日本と中国、そして台湾でビジネスをしてきましたので、意識の中に国境がありません。言葉も日本語、中国語、広東語、英語が話せますので、通訳なしでコミュニケーションをとることができます。大事なことは、人間は平等であり、まずは人間としての関係を築くことでしょうね。

 とは言っても国民性の違いというものもあり、日本人が中国でビジネスを展開する上で、関係を作るのに苦労をしていると思うのですが。

 確かに日本人と中国人の思考順序が違います。日本人は何か行動を起こすとき、規則(ルール)が優先して、次に理由、情が続きます。ところが中国人は、情が最も大切で、理由が続いて規則は最後です。これはどういうことかと言いますと、日本人は枠組みの中で考えようとしますが、中国人は行動を起こす前に、どうやって処理すれば良いのか考えます。柔軟性と思慮深さがあるのです。目的は一緒ですが、解決方法の過程が違います。この違いを理解すれば、中国人スタッフとのコミュニケーションを深めることができると思います。

 中国企業の中で活躍されている宮本さんですが、今後の経営方針、戦略はどのようにお考えでしょうか。

 友誼商城グループの年商は13億元に上り、顧客の多くが45歳から55歳の富裕層ですが、彼らが何を求めているのか、どんな商品が売れるのか、中国語で「大数据」というビッグデータを分析して傾向をつかまなければなりません。また、私は年に3回ほど日本に帰り、どんなものが売れているか、市場調査をしています。消費国として先進地の日本を参考にしたいと思っています。

 最後に日本企業との関係づくりについてお聞かせください。

 高級デパートとして評価を受け、実績もある友誼商城ですので、日本から優れた商品を導入し、高級レストランを誘致したいと考えています。進出に当たっての煩雑な手続き、経営面でのアドバイスなど、多面的なサポートをすることができますので、チャンスの多い中国マーケットへのチャレンジをお手伝いさせていただきます。

  享誉世界的台湾小笼包店「鼎泰丰」友谊商城店,即将迎来开业一周年。这次我们请将鼎泰丰招徕友谊商城的顾问宫本大维先生,向我们讲述了工作的配合和对策等故事。
  “友谊商城是比较高级的商场,而追求成为一流餐厅的「鼎泰丰」在大连本地也需要优秀的伙伴。我们互相的战略在非常好的时机促成了合作后开店。我想今后要从日本引入优质的商品,招徕更高级的餐厅。对于机遇和挑战众多的中国市场我也想要出自己的一份力”。

【経歴】
 1953年、台北市生まれ。台湾の世界新聞職業学校(現在の世新大学)を卒業後、台湾のテレビ会社に入社、番組制作に携わる。その後、日本に留学して経済を学び、1980年代に台湾に戻って日台貿易を手がけた。1992年から中国本土に渡り、上海を経て大連のデパートで室内遊園地を開設するとともに友誼商城のアドバイザーから5年前に相談役に就任した。

インタビューを終えて
大連生活の先達者
 宮本さんとは「鼎泰豐」の開店時に知り合って以来、1年の付き合いとなる。宮本さんは国営系企業の中で幹部、一般スタッフとも分け隔てなく接し、中国社会で全面的な信頼を得ている。まさに、国境を超えた国際人だ。
 そんな姿を見ていると、「どこの国の人?」。だが、千葉県では夫人が歯科医院を開業し、「息子も歯科大学を卒業して、時々、実家の医院を手伝っています」と、うれしそうに笑顔で語る。一人暮らしの大連では、休日にはゴルフやサウナで仕事の疲れを癒し、和食の手料理を楽しむ。大連生活26年の先達者だ。

猪瀬 和道

この投稿は 2015年4月13日 月曜日 10:49 AM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2015-04-13
更新日: 2015-04-13
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