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音楽家、指揮者 鷲見 尚保さん sumi naoyasu

音楽家、指揮者 鷲見 尚保さん sumi naoyasu
鷲見 尚保さん

「15年もの間、僕に指揮の機会を与えてくれた大連国際音楽倶楽部の執行部スタッフに、感謝しています」

 中日両国の演奏家で結成するアマチュアオーケストラ「大連国際音楽倶楽部」の第20回記念コンサートが11月2日、中山広場の大連人民文化倶楽部で開かれた。日本の東京支部からも演奏家が来連し、多数の聴衆を魅了した。今回も日本から駆けつけて指揮をした鷲見尚保さんに、大連での思い出や音楽人生について聞いた。(関連記事は10ページ)

 第20回の記念コンサートを終え、ご感想はいかがでしょうか。

 本番の2日前、全楽員が一堂に合流しての初練習では、不十分な仕上がりだと感じ心配でした。しかし、本番は大過なく、まずまずの完成度であったと思います。部分部分で多少の乱れはあったものの、楽員の記念行事を成功させようという熱い情熱、意気込みがマイナス点をはるかに補い、全体的には良いコンサートになったかと思います。

 どのようなきっかけで、大連国際音楽倶楽部を指揮するようになったのでしょうか。

 クラリネットの弟子でもある慶四郎(高岡慶四郎さん)から指導を依頼され、1999年の春、初めて大連を訪ねました。そして、同年の9月26日に僕の指揮で初めてのコンサートを開きました。振り返れば、スピードの早い進歩ではなかったと思いますが、大連国際音楽倶楽部は確実に成長しています。また、「持続は力なり」を地で行き、ずっと続いていることも素晴らしいですね。その価値ある歴史の中の15年間も、微力な僕に機会を与えてくれた両国の執行部スタッフに、感謝しています。

 大連での指揮には、どの様な気持ちで臨んでいらっしゃいますか。

 普段は別々に練習している両国の楽員が、本番前に集合し、何日かの練習で本番を迎えます。このような状況ですので、楽員同士の人間的な友好に期待しています。練習を通し、音楽を構築する喜びを、お互いにぶつけ合ってほしいと願っています。また、これは僕の持論ですが、練習は和気あいあいと楽しくすること。アマチュアは、半年や1年の練習を経て、本番を迎えます。練習期間が長いので、もちろん厳しさも含みますが、練習は楽しくが基本です。

 鷲見先生が音楽の道へ進むきっかけは、何だったのでしょうか。

 中学校に吹奏楽部が設立されることとなり、2年生でクラリネットを始めました。本当は、トランペットなどのラッパを吹きたかったのですが、それらは先輩に取られていて、残っていたのがクラリネットでした。これが僕の出発点です。その後は、高校でも吹奏楽部に入り、大学でもクラリネットを専攻しました。35歳でウィーンへ留学して指揮を学び、指揮者として活動を始めました。

 音楽人生を振り返り、忘れられない思い出などはありますか。

 「アランフェス協奏曲」などで有名なスペインのホアキン・ロドリーゴ夫妻を日本へ招き、「ロドリーゴフェスティバル」を開催したことがあります。僕が指揮をしましたが、盲目のロドリーゴ先生はとてもするどく、まるで見えているかのようにおっしゃる。僕も若かったので、怖いくらいでした。終了後、ロドリーゴ先生から「日本でのフェスティバルが成功し、また日本でも楽しい旅行ができ、良い思い出になった。指揮者の鷲見にも感謝している」というメモをいただき、僕にとっても印象的な思い出です。

 想像力や創作力の源泉は、何でしょうか。

 僕は、現代的な都会ではなく、自然の残る田舎で育ちました。川があり、山がある少年時代、これが僕の原点です。夕日の美しさや、風が竹やぶにそよぐ感じなど、感性を表現する素晴らしさに魅かれました。自然が、想像力や創作力の源泉と言えるでしょう。

 最後に、大連国際音楽倶楽部へのメッセージや今後の目標を、お聞かせください。

 体力の限り、指揮を続けたいと思っています。また、楽員の安定にも期待しています。そして、中日両国の代表として情熱を持って運営にあたっている谷口恵さんと辛亮さんには、本当に感謝しています。両国の楽員が1つの方向に向かう良いオーケストラを、この大連で育てたいと思っています。

  11月2日,由中日两国的业余演奏家组建的“大连国际音乐俱乐部”管弦乐团举办了第20届的演奏会。自从1999年就开始指挥这个管弦乐团的指挥鹫见尚宝接受了我们这期的人物专访,下面来倾听一下他眼中的这个乐团以及他对乐团的期待。
  “20年来,一直在大连国际音乐俱乐部这个大家庭中活跃着,留下了许许多多美好的回忆,也非常感谢乐团的信任,让我做了15年的指挥。在接下来的日子里,只要还能站在这个舞台,我就想一直指挥下去。也衷心的祝愿在大连这片沃土上,乐团里的每一位成员都能同心协力,奏响一首又一首响彻人心的曲子。”

 1936年、岐阜県に生まれる。高校の吹奏楽部でクラリネットを始め、国立音楽大学でクラリネットを専攻。卒業後、東京フィルハーモニー交響楽団へクラリネット奏者として入団。35歳でウィーン国立音楽大学指揮科へ留学し、本格的な指揮活動に入る。東京フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、バーデン=バーデン交響楽団(ドイツ)など、多数の楽団でタクトを振る。

インタビューを終えて
西洋音楽を聴いてみよう
 「日本では、知識を持っていないと西洋音楽を聴いてはいけないような空気があるけど、そうではない」と、鷲見先生は語る。「さっきの曲、良かったけど、作曲者は誰なの」という程度でも全く構わないと言う。和音の構成などを知りたい人は、自分で楽典をひも解けばよく、「気軽に西洋音楽を聞いてほしい」と訴える。
 「演奏する側と聴く側が対等となる音楽会」を理想とする鷲見先生は、親しみやすい音楽会を目指し、指揮を続けてきた。
 インタビュー後、私も「新世界から」と「アランフェス協奏曲」に耳を傾けてみた。これからも、素晴らしい音楽を届けてほしい。

武井 克真

この投稿は 2014年12月9日 火曜日 5:52 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2014-12-09
更新日: 2015-12-18
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