Whenever誌面コンテンツ

大連神谷中医病院主任漢方医師 王 新さん

main
sub

「患者に喜んでもらうのが、医師としての目標。大連に住む日本の方にも、治療を通してお役に立ちたい」

 大連中日文化交流協会と大連神谷中医病院が主催した漢方講演会が7月末、同病院で開かれ、中日両国の市民が参加して好評だった。その講師を務めたのが同病院主任医師の王新さん。流暢な日本語を話し、日本に留学経験があるほか、スイスでも勤務するなど、国際派の漢方医だ。日本とのかかわりや漢方の現状などについて聞いた。

 「肩こりの解消と予防」をテーマにした講演会では、王新先生が講師を務められましたね。日本人の受講者も多く、好評だったとお聞きしました。

 初めての試みでしたが、約30人もの皆さんが参加してくれました。日本の方も半数を占め、肩こりに悩む人が多いことを改めて認識しました。肩こりや首こりの原因は、基本的に脊髄の問題であり、そこから筋肉がおかしくなり、やがて肩や首の〝こり〟となって症状が現れます。その原因を改善するには、漢方ではハリ、リハビリ、漢方薬のいずれかの治療方法を採用します。講演会では、こうした原因や治療方法を説明し、さらにツボや経絡を刺激するマッサージによる〝こり〟の解消方法を指導しました。

 受講者の皆さんは熱心に話を聞いていたようですね。

 漢方に対する関心は高いですね。西洋医学で治らないケースもあり、悩んでいる人は数多くいます。漢方は原因から治す療法ですから、多少時間がかかっても症状は改善されて行きます。講演会では、皆さんは真剣な表情で話を聞いてくれ、「良い勉強になりました」と、うれしい感想もいただきました。これからも機会があれば、みなさんに漢方について説明したいと思います。

 それにしても王先生は日本語がお上手で、講演会も日本語でやられたそうですね。

 日本語は小学校3年生の時から勉強しています。中学、高校に進んでも日本語を学び、大学では日本語で漢方を教えることのできる医師を養成するクラスに入りました。大学卒業後は大連の病院で漢方医として勤務し、神経内科の専門医となりましたが、せっかく日本語を長く勉強してきたので、日本へ留学することにしたのです。

 日本の印象はいかがでしたか。

 日本医科歯科大で1年間研修し、東京にある大連医科大学日本分校で2年間、漢方医学の講師として教壇に立ちました。この3年間の日本滞在で感じたのは、日本人は仕事、人に対して真面目だと言うことです。また、初めて成田空港で日本の地を踏んだとき、街も空気も何てきれいなんだ、と感じました。ただ、街は大連と比べて狭いですね。

 王先生は日本だけでなく、スイスでも勤務されたましたね。

 ええ、スイスの中規模都市の漢方診療所で2年間勤務しました。実はいま、漢方は「緑の療法」と言われ、世界中から注目を集めています。自然の摂理に沿った安全な療法で、欧米には漢方診療所がたくさんできています。現地の中国系住民から次第に西洋人へと広がっているのです。

 日本にも中国から伝来した漢方が普及していますが。

 確かに、中日交流の長い歴史の中で、日本の漢方医学は発展してきました。しかし、大学などでは漢方の専門学科が少ないと思います。日本は西洋医学中心の傾向があるからでしょう。中国では、私以降の世代は、西洋医学も学び、科学的な検査に基づいた診療を行っています。脈を取るだけで病名を当てた、従来の漢方医とは明らかに違っています。

 王先生の目標をお聞かせください。

 毎日の仕事を真面目に取り組み、患者を助けることです。患者に喜んでもらうのが、私の医師としての目標です。それから、長い間にわたって日本とかかわりを持って来ただけに、大連に住む多くの日本の方にも、治療を通してお役に立ちたいと思っています。

  七月末,大连神谷中医医院的主任医师王新举办了中医讲座,广受好评。流利的日语、在日本的留学经验、在瑞士的工作经历,使他成为国际化的中医医师。访谈中也提到与日本的关系。
  〝讲座中日本人约有三十人参加,让很多饱受肩酸、颈部酸痛困扰的人重新认识了病因。讲座中不单就肌肉酸痛说明了病因及治疗方法,还指导了用刺激穴位和经络的推拿按摩法来解决肌肉酸痛的困扰。大家能够认真的听我讲解,对于我来说,也是一个很好的机会。每天认真负责地工作,为患者排忧解难是我今后的目标。看到患者的笑脸,是我作为医生的职责所在。另外,一直以来,都与日本保持着联系,而且也有很多日本人在大连居住,所以也衷心的希望能够通过治疗帮助到更多的人

【経歴】
 1967年、大連市中山区生まれ。遼寧中医大学で漢方と日本語を学び、大連の病院勤務を経て2000年5月に日本に留学し、日本医科歯科大で神経病理学を学ぶ。2003年末に大連へ戻って漢方医として診療活動を行い、2011年から2年間、スイスの漢方診療所に勤務。今年7月1日から大連神谷中医病院の主任医師を務める。

【インタビューを終えて】
新しい時代の漢方医
 対処療法の西洋医学と、根本治療の漢方。どちらも長短所があるが、いま西洋医学と東洋医学の融合が求められている。その先頭に経つのが王新医師たちの世代だろう。王医師は日本で神経内科学を学び、レントゲンなど各種検査機器も駆使して診断に当たる。
新たな時代の漢方医である王医師。スポーツが大好きだが、今はもっぱら〝観戦派〟。休みの日にはインターネットで映画を見たり、読書したりして過ごすと言う。愛読書は漢方の専門書。研究心は尽きない。

                                                   猪瀬 和道

この投稿は 2014年9月11日 木曜日 1:41 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

コメントをどうぞ

掲載日: 2014-09-11
更新日: 2014-09-11
クチコミ数: 0
カテゴリ
エリア