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大連外国語学院漢学院院長 潘 暁春さん
語学教育を通して中日友好を
中国語学習と社会実習で戦力を養成
観光とタイアップの仕組みづくりを
中国語の学習拠点として毎年、大勢の日本人留学生を受け入れている大連外国語学院漢学院。その教育システムは日本の教育機関からも評価を受け、提携する日本の大学は年々増え続けている。その実績を作り上げて来たのが漢学院院長の潘暁春さんだ。今年で就任10周年を迎えたのを機に、留学生の受け入れや今後の抱負について聞いた。
――今年は中日国交正常化40周年ですが、大連外国語学院は語学教育を通して両国の友好を担ってきました。中でも大外漢学院は日本の大学などとの提携、留学生の受け入れで実績を上げてきましたね。
「国際教育は大連外国語学院の大きな特徴です。特に日本語教育では日本以外で世界最大の教育基地であり、多くの優秀な日本語人材を輩出してきました。また、漢学院は主に中国語教育を通して世界各国の教育機関と協力関係にあり、中でも日本との関係は歴史が古く、最も深い関係にあります」
――日本の教育機関とはどのような提携をしているのでしょうか。
「漢学院が提携している教育機関は世界で140ほどですが、このうちの40か所が日本の大学や教育機関などで、日本企業15社とも提携しています。大学との提携は中国語学習と社会実習のインターンシップを組み合わせた留学生の受け入れです。現在は日本の亜細亜大学や立命館、岡山商科、大東文化、国士舘、桃山学院、関西外国語大学などがこうしたシステムを採用し、学生たちを送り込んで来ています」
――留学と言えば、かつては語学学習が主体でしたが、今はインターシップを組ませているんですね。いつごろからこうした傾向が出て来たのでしょうか。
「確か亜細亜大学がこのシステムを採用したのが最も早く、2005年にスタートさせたと思います。語学だけでなく社会経験のある学生の就職率は高く、採用する日本企業は中国語とともに社会経験を経て企業文化も理解する人材を求めているのです」
――ところで潘暁春院長は院長就任10周年を迎え、日本との教育交流に尽力されてきました。この10年を振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。
「この10年の日中関係は政治、経済を含めていろいろなことがありました。2003年のSARS(サーズ)や2009年の金融危機などのほか、餃子事件や農薬問題もあり、その度に留学生の受け入れも影響を受けてきました。本人だけでなく両親など家族も留学に対して非常に慎重になり、勉強や生活面の環境など、細かな点まで心配されるケースが多くなってきました。しかし、結局は大外漢学院を留学先に選ぶ人が圧倒的で、これも本学院の実績と優れた受け入れ体制にあると思います」
――留学生の受け入れにあたってどのようなことに留意されているのでしょうか。
「とにかく留学生本人や大学側の希望を徹底的に聞き、それに沿ったサポートを心がけ、できるだけ満足していただけるようにしています。事務所も日本語が出来るスタッフを配置して、日本で生活し、勉強しているような環境を提供しています」
――大外漢学院ではどれくらいの留学生を毎年受け入れているのでしょうか。
「短、長期合わせては1700人以上です。国籍別ですと、金融危機前は韓国が最も多かったのですが、今は日本がトップで毎年200人以上。これに韓国、ロシアが続いています。世界的な景気の低迷で他大学の日本人留学生は減っていますが、大外漢学院は様々な問題の影響を受けながらも増加傾向を維持しています。これも過去の蓄積のおかげだと思います」
――潘暁春院長は日本留学の経験があり、いまも日本との関係は深いとお聞きしていますが。
「大外日本語学科に8年間勤務し、その後、遼寧省が教師を海外に派遣する留学制度にパスして日大商学部に1年間留学しました。帰国後は漢学院勤務となり、日本人留学生らを受け入れてきました。いまも毎年1、2回は日本に行き、提携の大学などを訪問し続けています」
――最後に今後の目標をお聞かせください。
「日本の大学や企業と密接な関係がありますが、決して今のレベルで満足していません。もっと高度な教育、インターシップを目指し、優秀な人材を育てて漢学院の影響力を高めたいのです。また、観光業ともタイアップして、日本から訪れる観光客に中国文化や中国語学習の体験をしてもらえるような仕組みづくりもしたいのです。グローバル化が進む中で、互いの国を理解することが大切です。私は大学の蓄積して来た資源を生かし、中日友好のために全力を尽くしたいと思っています」
【Profile】
潘 暁春さん
東北師範大学卒。専攻は政治教育。1988年に大連外国語学院教師となり、日本語学科副書記などを経て1999年に遼寧省政府の国際派遣教師に合格、日本大学商学部に1年間留学した。帰国後は漢学院に勤務し、2002年に院長に就任、現在に至る。
【インタビューを終えて】
相互理解を支えてきた情熱
潘暁春院長とは4年前に取材でお会いして以来の知り合いで、中国流に言えば〝老朋友〟。今回のインタビューでは久々にお会いでき、仕事から個人的なことまで幅広い話題で盛り上がった。その中で印象に残ったのが「趣味は仕事。休みもなく10年間を走り続けてきました」との言葉だ。一貫して留学生の中国語教育に取り組み、とりわけ日本との関係に奔走して来た潘暁春院長。こうした熱意が日中の相互理解を支え、中日国交正常化40周年に輝かしい彩りを添えるものだと実感した。
猪瀬 和道
更新日: 2012-02-24
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