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大連市慈善総会副会長 刁 成宝さん diao cheng bao
「福祉活動を通した相互理解が、中日両国にとって必要なことだと思います」
中国の最大行事である春節が間もなくやって来る。街はお祭りムードに包まれるが、不安の中で春節を迎えようとする生活困窮も少なくない。そんな人たちに救済の手を差し伸べてきた大連市慈善総会が設立10周年を迎えた。副会長兼秘書長として会活動をリードする刁成宝さんに、日本との関係や今後の福祉活動について聞いた。
間もなく春節がやってきます。大連でも生活困窮者に対する助け合い活動が盛り上がっているようですね。
毎年この時期は、市政府と慈善総会が手を組んで生活に困っている人たちを支援する活動を行っています。対象となるのは、低所得家庭や独居老人、仕事のない老人などで、1人について市内は600元、農村は400元を支給しています。この10年間で慈善総会から5000万元を拠出して、みなさんが無事に春節を迎えられるように支援しています。
このほか、慈善総会はどのような活動を行っているのでしょうか。
私ども独自の活動は、28項目にもわたっています。困窮家庭への医療費補助や学校に行けない子どもたちへの学費補助、進学支援、農民工への支援、福祉施設への物資提供などです。こうした資金は企業などからの寄付でまかなっています。
大連の生活困窮者はどれくらいの数でしょうか。
生活困窮者は人口の5パーセントの約20万人。また、大連は国内各都市と比べ、高齢者の比率が高く、60歳以上のお年寄りは19パーセントにも達しています。これから老人問題は深刻になり、福祉政策などの整備も大きな課題になっています。
毎年、寄付金はどれくらいの金額になりますか。
慈善総会は2004年に設立し、ちょうど10周年を迎えました。この間、企業や市民の慈善意識は高まり、寄付金も飛躍的に増え続けてきました。初年度で1000万円が寄せられ、3年目には1億3000万元、5年目の2008年には3億4000万元にも達しました。その後も、毎年2、3億元を超え、10年目の2013年も3億元以上となる見込みです。その多くが企業からの献金で、福祉活動を行っている企業は3000社に上り、全国各地と比べても高い数字となっています。
日本との交流はあるのでしょうか。
もちろんあります。大連は日本の企業が数多く進出し、経済、文化面で活発な交流を続けていますが、福祉の分野でも親密な関係にあります。日本人の学者や企業人など5人の方に、慈善総会の外国人顧問になっていただいています。また、多くの日系企業からも寄付金をいただき、2008年の四川大地震の時には、ニッコーホテル・大連や小野田セメントなどから合計87万元の義援金が寄せられました。
その逆に、2011年の東日本大震災の時には、中国から様々な支援がありました。
大連市慈善総会としても40万元を贈りました。困った時は互いに手を差し伸べるのが、真の交流であり、こうした福祉活動を通した相互理解が、中日両国にとって必要なことだと思います。
義援金のほか、日本との民間交流はどのようなことが行われているのでしょうか。
先ほども言いましたように、大連は高齢化社会に入っています。日本は福祉先進国であり、私たちは日本のシステムを学びたいと思っています。そのひとつが社会福祉法人「元気村グループ」(埼玉県さいたま市)への学生派遣。2008年からスタートした事業で、毎年、大連の学生1、2人が元気村で福祉の現場で学んでいます。若い人たちを育てることによって、日本の介護システムを導入するのが目的です。
この10年間を振り返るとともに、今後の目標をお聞かせください。
初代会長や現会長など、元市政府の重鎮がリーダーとなっているだけに、政府への影響力も強く、組織として素晴らしい発展を遂げてきました。他都市と比較しても大連市慈善総会の存在は大きいものになっています。今後はこの発展スピードを継続させ、政府とともに市民が穏やかに暮らせる社会をつくり上げるのが目標です。具体的には、高齢化社会に対応するため、慈善総会が経営する老人ホームを現在の1か所から数を増やし、お年寄りたちが安心して過ごせるような環境を整えたいと思っています。
【経歴】
1946年1月、旅順生まれ 。大連市の市委員会事務局や経済体制改革委員会、発展研究センターなど市政府の中枢に勤務。退職後の2006年に大連市慈善総会に入会、副会長兼秘書長に就任した。
【取材を終えて】11
誠実な人柄で会活動をリード
大連慈善総会の初代会長にインタビューしてから、すでに7年。今回の刁成宝さんにお聞きして、この間の会活動の発展ぶりに驚かされた。日本との関係も前回のインタビュー時点ではなかったが、慈善活動を通した日中交流が着実に広がっていることも知った。
その活動を牽引するのが刁成宝さん。市政府の要職を務めただけに、政策手腕に優れ、これまでの発展を担ってきた。「私は運動が苦手。〝静〟のタイプ」。冷静で誠実さを感じさせる人柄が、慈善総会にふさわしいリーダーだと思った。
猪瀬 和道
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更新日: 2014-02-13
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