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中国の日本酒製造パイオニア 大連偕楽園食品有限公司董事長 李 連成さん li liancheng

中国の日本酒製造パイオニア 大連偕楽園食品有限公司董事長 李 連成さん li liancheng

2012年10月号巻頭インタビュー

「日本酒は中日友好の潤滑油。日本酒造りに励み、相互理解のお役に立ちたい」

 つい数年前まで一般には販売されていなかった日本酒が、最近は手軽に購入できるようになった。日本から輸入したものや中国の現地製造品など、幅広い銘柄がそろっている。この中国で日本酒を初めて造った蔵元が、意外にも大連にあった。日本酒普及の元祖でもあり、食文化を通した両国交流のパイオニアでもある大連偕楽園食品の李連成さんに中国の日本酒造りについて聞いた。

 中国でも日本酒が普通に販売されて、「清酒」という言葉が定着しています。その歴史を築いてきたのが李連成さん。中国で初めて日本酒造りを手がけてきたパイオニアですね。

 日本酒を大連で造り始めたのが今から18年前。今でこそ日本酒はスーパーマーケットでも販売されていますが、当時はまったく流通していませんでした。日本料理店も「清水」だけで、その他は民航ホテルに日本風バーがあったぐらいでした。現在は日本料理店が爆発的に増えて日本酒も普及してきました。感無量ですね。

 なぜ中国で日本酒を造ろうと思われたのでしょうか。

 40歳を過ぎてから日本に渡り、日本酒に出会いました。なんて美味しいお酒なんだろうと感動しました。そのころの中国は蒸留酒の白酒が中心で、アルコール度は高く、健康にも良くない。その点、日本酒は醸造酒で口当たりが柔らかく、成分のアミノ酸は体にも良い。中国の人にも美味しくて体に良い日本酒を飲んでもらいたかったのです。

 日本酒の製法は中国から伝来したという説もありますね。

 そうです。中国のお酒の原点は濁り酒で、その製法が日本に渡り、この濁り酒を濾過して清酒が生まれました。日本酒造りの職人を「杜氏」と言いますが、これは中国の酒造りの名人からきたものです。中国には「杜康」という人がいて、酒造りで名を馳せました。これが由来となって、いまも「杜氏」と呼ばれているのです。

 いま、中国では日本の蔵元が各地に進出して日本酒を現地製造しています。李さんはなぜ大連で日本酒造りをはじめたのでしょうか。

 私が酒蔵を造った翌年に中谷酒造が(天津で)創業したのをはじめ、大手清酒メーカーも含めて相次いで中国に進出してきました。各社の拠点は分散していますが、私は1年間かけて中国のどこが日本酒造りに向いているか、じっくり調べ上げました。その結論が大連だったのです。四季がはっきりした気候は酒造りに適しています。さらに大連は日本の伝統的な雰囲気を残し、日本酒造りに対する市政府の理解も大きかったですね。

 前例のない中国での日本酒造り。当初はご苦労されたことでしょう。

 日本と同じお酒を造ろうと思いました。道具も製造方法も同じものを使って。ですからタンクや搾り機などの設備類、麹種、酵母菌なども日本から持ってきました。日本の米は高いので、これは酒造米を地元で栽培して使い、製造管理は日本から杜氏を呼んできました。最初は数十トンを造り、製品として使えたのはわずか3トン。それが現在では年3000トン近くの生産量にまでになりました。

 なぜそれほど生産量が増えて来たのでしょうか。

 生産量はこの18年間で徐々に増えてきましたが、特に現在の高新園区に本社工場を移転させた10年前から顕著に伸びてきました。これは駐在する日本人が増えるに従って日本料理店や居酒屋、バーが次々と開店したのが大きな要素ですね。加えて日本に行ったことのある中国人も増加し、日本酒を飲む人たちが多くなってきました。中国の富裕層では贈り物に日本酒を使うようにもなりましたね。

 そうしますと、日本酒は日本と中国を結ぶ食文化の架け橋ともいえますね。

 その通りだと思います。日本酒の源流は中国で、日本で独自の製法を確立して発展してきました。その日本酒が中国に帰って来たのです。まさにこれが文化の交流であり、日本酒は中日友好の潤滑油と言えます。今後も美味しい日本酒、体に良い日本酒造りに励み、両国の相互理解のお役に立てばと思っています。

  现在我们很容易就能买到日本酒,其中有从日本进口过来的也有国内生产的。中国首家制造日本酒的工厂就在大连。在这里我们采访了通过食文化促进两国交流、普及日本酒的鼻祖大连偕乐园食品的李连成先生。

  「在大连开始制造日本酒是在18年前。如今连在超市都有卖的日本酒,在当时却是完全不流通的。日本料理店也只有「清水」一家。现在随着日本料理店的激增日本酒越来越普及。加上去过日本的中国人的增多、喜欢喝日本酒的人越来越多。中国的富裕阶层送礼的时候也开始选择日本酒了。今后将会继续为大家提供优质的日本酒、能够滋养身体的日本酒。为增进两国的互相了解做贡献」

【経歴】
 1946年7月、瀋陽市生まれ。1987年から7年間にわたって東京都や千葉県などの貿易会社、酒蔵に勤務し、帰国後の1994年に千葉県の酒蔵「木戸泉酒造」の現地法人を大連に立ち上げた。1998年には木戸泉や埼玉県の藤崎総兵衛商店などと出資して大連偕楽園食品を設立、日本酒のほかにも調味料を製造している。

【取材を終えて】
 酒造りの伝統と意気込み

 工場内に入ると、懐かしい造り酒屋のにおいが立ちこめていた。工場の外観こそ西洋のお城のようだが、内部は日本の蔵元と違わぬ雰囲気をたたえ、「日本と同じ製法で酒造りを」との李連成さんの思いが伝わってくる。
 美味しい日本酒造り一筋の李さん。酒造米「五万石」を自社田で栽培するなど、日本の伝統的な酒造りの技法と心意気が、この大連に息づいていた。しかし、製造された日本酒は業務用として卸され、一般消費者の目にふれることはほとんどない。いつの日か、私たちも地元産の日本酒を味わえる日が来ることを願っている。
猪瀬 和道

この投稿は 2012年10月10日 水曜日 10:43 AM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

コメント / トラックバック2件

  1. 霜山文利 より:

    私は撫順に住む岡山県人です。
    貴社のお酒は息子さん(李青寧さん)の紹介でネット購入し、毎日おいしく頂いています。
    息子さんには岡山県人会で大変お世話になっております。
    これからもおいしい日本酒・焼酎を造ってください。

    • 慶次郎 より:

      霜山文利さま、
       コメント有り難うございます。返信が遅れました。

       まさに潤滑油になっていますね。ぜひ中国東北から日本酒が広がっていけばいいなと思っています。

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掲載日: 2012-10-10
更新日: 2012-12-19
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