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劉 宏さん 大連外国語大学学長

劉 宏さん 大連外国語大学学長

劉 宏さん 大連外国語大学学長


「アジア夢カレッジ」の謝恩会であいさつする劉宏学長

「アジア夢カレッジ」の謝恩会であいさつする劉宏学長

「大外は周恩来首相によって設立された日本語教育機関です。今後も日本語学科を重視して、国際人材の育成に努めて行きたいと思います」

 総合外国語大学として国内外に広く知られた大連外国語大学(大外)の新学長に、副学長だった劉宏さんが就任した。大外は日本語をはじめ、英語、ロシア語、韓国語、フランス語、ドイツ語人材を社会に送り出してきたが、世界は宗教や民族、政治、経済面で大きく揺れ動いている。難問題が山積する国際社会の中で、どのような国際人材を育成するのか、劉宏新学長に聞いた。
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 学長就任、おめでとうございます。まずは抱負をお聞かせください。

 世界のグローバル化に伴って、国際人材をいかに育てることができるか、これが大学の目標であり、私の課題でもあります。国際人材の育成は、1964年に日本語の教育、研究機関として設立された本学の使命でもあり、校訓の「崇徳尚文 兼収并蓄」にも人材育成の精神が込められています。

 国際人材の育成のため、どのようなことを実践されているのでしょうか。

 まずは本学と海外大学との学生間交流です。孫玉華教授から熱心に進めてきた路線で、現在は世界30か国以上の195大学、研究機関と交流しています。このうち日本と韓国、ロシアが100大学を占め、中でも日本は40大学にも上ります。これは10年前の2倍にもなります。

 具体的にどのような交流を行っているのでしょうか。

 まずは日本の大学との2+2プログラムです。本学の学生が大外と日本の大学で各2年間ずつ勉強し、両大学の卒業証書を得ることができます。最近の傾向は、年次に関係なく1年間、日本の大学に留学できる3+1プログラムを選択する学生が多くなりました。特に4年次に留学して、そのまま日本の大学院に進み、日本の企業に就職する学生もいます。さらに、いま検討を進めているのが、本学と日本、韓国の大学と提携し、3か国間留学の制度。極東アジアのこの3か国は近い将来、自由貿易圏となり、3か国の言葉、文化、習慣に精通した人材が求められるでしょう。

 特に日本の亜細亜大学との交流は活発ですね。

 そうです、亜細亜大学の留学生を5か月間受け入れ、語学学習とインターンシップを組み込んだ「アジア夢カレッジ」は今年で12期を迎えます。両大学の学生が一緒に生活し、同世代交流を通して両国の相互理解を深めています。また、亜細亜大学との2+2システムも6年ほど前から行っています。

 このほかの日本の大学とはどのような交流をしていますか。

 立命館や早稲田大学、北星学園大学、武蔵野大学、城西大学など多数の大学と提携しています。中でも岡山商科大には、大外が本部となって世界8大学に開設している孔子学院が2007年に開設されました。孔子学院は中国政府が推進する文化交流政策で、世界各国の学生に中国語の指導や文化、芸術交流を深め、互いに理解を深め合うのが目的です。

 今後の国際化についてどのような計画をお持ちでしょうか。

 学生間の交流も大切ですが、大学全体のレベルを上げ、魅力ある大学にするため、幅広い層の交流が必要です。まずは外国人教師を年間80人採用から100人以上に増加、実践的な教育を充実させることです。さらに多くの大学院、博士コースの学生を海外留学させ、中国人教師の海外派遣をもっと増やし、国際研究者を育成する体制を整えたいと思います。

 最後に日本との関係のあり方についてお聞かせください。

 先ほどもふれましたが、大外はもともと周恩来首相によって設立された日本語教育機関です。卒業生は各界で活躍し、東北地方で日本関係業務に携わる卒業生は5割を占め、大連に至っては7割に達しています。歴史的にも日本とのかかわりは古く、深いのです。中日両国間の歴史、政治面では難しい問題もありますが、教育を含めた民間の交流は着実に進んでいます。数年前、両国間に緊張が走ったときも、「中国には大切な友人がいる」と、亜細亜大学や北陸大学の学長らが本学を訪問し、交流を深め合いました。また、日本語学科では日本語教科書の出版作業を進めています。今後も日本語学科を重視して、国際人材の育成に努めて行きたいと思います。

  大连外国语大学(简称大外)是一所驰名国内外的综合性外语院校,刘宏女士刚刚出任该校新校长。身处困难重重的国际形势中应该培养怎样的国际型人才?就此问题,我们采访了新上任的刘宏校长。
“在全球经济一体化的形势下探索培养国际型人才,既是本校的办学宗旨,也是我本人的工作理想。大外原本是由周恩来总理倡导设立的日语教育机构,毕业生活跃于社会各界。中日两国之间虽有诸多难题,但教育等民间交流却一直在稳步发展。今后我们也会继续重视发展日语专业,致力培养国际型人才。”

劉 宏(Liu Hong)さん

 黒竜江省出身。大連外国語学院(現在の大連外国語大学)ロシア語学科卒。その後、同学院の教師になり、1998年から2001年までロシアに留学して博士号を取得。帰国後は同学院のロシア語学科副主任、教務処処長、教授を経て、2011年に大連外国語大学副学長、2015年10月に学長に就任した。

インタビューを終えて
期待の大外プロパー
 名門・大連外国語大学の学長に就任した劉宏さんは、着実にキャリアを積んできた大外プロパー。15年間にわたって牽引してきた孫玉華・教授の路線を踏襲しながらも、5年後を見据えて独自カラーの国際人材の育成を目指す。
 柔らかな笑顔を浮かべながら、ゆっくりと丁寧に、取材に答えてくれた劉さん。その表情からは、真摯な教育者の姿と、管理部門も歩んで大学経営にも携わってきた実績と自信を感じさせた。伝統校にどんな新しい歴史を刻み込んでくれるのか、楽しみでもある。

猪瀬 和道

この投稿は 2016年3月3日 木曜日 8:22 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2016-03-03
更新日: 2016-03-03
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