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日中男女の恋愛小説を出版した 孫 偉さん

日中男女の恋愛小説を出版した 孫 偉さん

小説「紅白之恋」(瀋陽出版社 20元)

小説「紅白之恋」(瀋陽出版社 20元)

「中国の若者が、この小説を通して日本への理解が深まることを期待しています」

 日本留学の経験がある鞍山日田工業数据有限公司総経理の孫偉さんが、日中の男女の恋を描いた恋愛小説「紅白之恋」を発刊した。周囲が反対する中で愛を育んで行く2人の葛藤と絆が綴られている。「中国の人たちに日本の素晴らしさを知って欲しい」。そんな孫さんの強いメッセージが込められている。

 孫さんが執筆した中国語の小説「紅白之恋」が、瀋陽と鞍山の新華書店で発売され、大連の新華書店でも間もなく店頭に並ぶと聞きました。

 小説は2012年8月から本格的に書き始め、2014年2月末から出版準備を進めてきました。内容の審査を受けて、やっと出版許可の書号を取得し、やっと8月に瀋陽出版社から出版の運びとなりました。9月から瀋陽と鞍山の書店に並び、大連でも10月までには発売される予定です。ようやく日の目を見ることになり、感無量です。

 簡単なストーリーを紹介してください。

 日本に留学した陸俊と、日本の女性、中山恵美との国境を超えた恋愛小説です。2人は陸が留学した早稲田大学で出会って、愛情を温め合いますが、両国関係の悪化で陸は帰国を余儀なくされてしまいます。しかし、恵美を忘れられない陸は、日本に戻って恵美を探そうとします。最後は大連空港で再会するという恋愛ストーリーです。

 孫さんは、どんな想いでこの小説を書いたのでしょうか。

 私は1991年から1年間、国営企業から栃木の鋼鉄会社に派遣されて研修し、1998年から2年間は早稲田大学大学院に留学しました。大学時代から日本語を勉強しましたが、実際に日本に行ってみて、良い印象を受けました。しかし、今の両国関係は政治レベルでぎくしゃくしています。こんな時こそ、民間レベルで日中関係の改善、相互理解が深めることができたなら、と執筆し始めたのです。

 技術畑の孫さんが、小説をお書きになるというのは意外ですが……。

 実はきっかけがあったのです。早稲田大学時代の同級生は日本、中国、韓国の3か国の11人がいて、全員が日本と関係のあるビジネスをしています。しかし、日中関係が悪化して、みんなは今後の成り行きを心配していました。そこで、「何とかできないだろうか」「関係改善に役立てたい」との声が上がり、文章や詩、写真などで友好を深めることができたのなら、と1年後にそれぞれの作品をサーバーにアップしようと誓い合ったのです。

 それではみんなの作品が集まったのですね。

 それが、1年後にサーバーにアップしたのは私だけでした。出版した小説の半分ほどの原稿でしたが、みんなから好評でした。それから修正しながら書き足して完成させました。しかし、出版するかどうかについて迷い、瀋陽作家協会の会員に読んでもらったところ、とても良い評価をいただいたので、出版を決意したのです。

 この恋愛ストーリーは、孫さんの体験ですか。

 違いますよ。背景の早稲田大学や大連などの背景は確かに私の体験に基づいて書きました。しかし、恋愛は小説の世界です。妻にも「あなたの経験なの」と疑われましたが。

 小説を通した日中の相互理解は確かに効果がありそうですね。

 小説の中では日本人の礼儀の素晴らしさなど、日本の良いところを盛り込んでいます。最近は政治的な影響を受けてか、中国の若者の中には日本に対するイメージが良くない人も増えてきました。この小説を通して、日本への理解が深まることを期待しています。また、日本の人たちにも読んでいただきたいと思っています。いずれは日本語の翻訳版を出版する予定です。

  有在日留学经验的鞍山日田工业数据有限公司总经理——孙伟,近日出版了描写中日男女间恋情的言情小说《红白之恋》。经常有中国人想要了解日本不同寻常的一面,孙伟的这本小说就是倾注了大量这样的信息。
  “这本小说从2012年8月开始正式落笔,2014年2月末准备出版。接着接受内容审查,最终取得出版许可书号。8月在沈阳出版社出版,9月在沈阳、鞍山的书店相继发售,预定10月在大连开始销售。期待通过这本小说,加深各位读者对日本的了解。近期也预订将出版日文版。

【経歴】
 1964年、鞍山生まれ。瀋陽大学を卒業後、鞍山の国営メーカーを経て早稲田大学に留学し、修士課程を修了。帰国3年後の2004年に大連に日中合弁の設計会社を設立、2011年には増資して鞍山に検査ゲージの製造会社を開設した。

【取材を終えて】
中日和平願う架け橋

 孫さんが日本を訪れたのは1991年と1998年の2回。この7年間で日本のイメージは大きく変わったと言う。最初は外国人も少なく、日本人の素晴らしさに直接、ふれることができたが、2回目は中国人を含めた外国人が増え、中国人社会もできて、「日本人との壁ができたようだった」と振り返る。
 「私はたくさんの日本人と付き合いたい」と語る孫さん。そんな孫さんこそが〝日中の架け橋〟だろう。小説の表紙には「中日世世代代和平友好」の文字と両国国旗が描かれている。孫さんの想いに感謝したい。
                                                   猪瀬 和道

この投稿は 2014年10月7日 火曜日 7:14 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2014-10-07
更新日: 2014-10-07
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